医療研究の第一人者である先生と打合せしていた際、資料について面白い話を聞きました。
30年ほど前、先生がアメリカの大学に手紙を出して、ある日本人医師の研究成果に関する資料を請求したことがあったそうです。最近また同じ大学にメールで資料請求したところ、翌日資料が送られてきて、その中に先生が出した30年前の手紙のコピーも入っていたので驚いたのだとか。異国の地から届いた問い合わせの手紙も資料としてきちんと保存されていたのです。一方、国内では、資料の価値がわからない人が、何も考えずに貴重な資料を捨ててしまい、いざ必要なときに取り返しがつかないことがあると嘆いていました。
社史の打ち合わせでも似た話をよく聞きます。「写真や資料を捨ててしまった」、「どこにあるか探すのが大変」・・・。スペースや手間を考えると資料整理が億劫になるのも事実ですが、アーカイブには「資料の価値判断はせずに管理する」という考えもあります。資料は捨てればただのゴミですが、いつか企業にとって新たなヒントやチャンス、イメージを生む宝になる可能性があるからです。事実、資料の効率的な管理ではなく、教育や情報発信はじめ効果的な活用を目指してアーカイブに取り組む企業は増えているようです。
今はいらないと思ってポイっと捨てる前に。歴史の証言者ともいえる資料の価値や使い道は何か、少し考えてみることが大切だと思いました。