先日、創業90周年を迎えられた大阪市内の包装資材などを製造されている企業様に伺い、社内報のちょっとしたコンサルタントをする機会をいただきました。
数十年続く歴史ある社内報の担当が、若い総務の女性に変わられたばかり。現状は作業するのに手一杯でどう充実させていいかわからない、ということでした。誌面を拝見したところ、社長の経営方針から社員のご家族の情報まで、できるだけ多くの「人」が登場するよう心がけていらっしゃる反面、情報が一方通行であるようにも感じました。
そこでまず、1903(明治36)年に鐘淵紡績の兵庫工場が発刊した日本初の社内報を例に、3大要素――「information」「communication」「mission」――の浸透こそが社史の目的であり、100年以上たった今も変わらない存在意義であることをご紹介。そして、実際の制作プロセスや課題点をお聞きしながら、社員の方が「自分たちの広報誌」だと思えて、実際にコミュニケーションが活性化されるためにどうすればいいか、仕掛けやポイントをお話ししました。
社内報は社史の企画や制作において言うまでもなく貴重な情報源です。最後に「100周年史を担当される社員の方が、きっと今の頑張りに気づいてもらえますよ」とお伝えしましたが、日々、社史づくりの仕事をしていて、社史はやはり歴史の記録だけではなく、そこにいて懸命に取り組んだ人々の思いや行動の集積である、と感じることがよくあります。DNAの記憶、というと少しとがった言い方になりますでしょうか。
後日、社内報をお送りいただきましたが、早速、いくつか新しいアイデアが紙面に反映されていて内容が充実しており、驚きました。日々悩みながらも会社を思い、少しでも良くしようと奮闘されるご担当者の姿勢には学ぶことが数多くあります。これからも応援したいと思います。