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2分冊にパッケージされた「本」のような博物館   パナソニックミュージアム

今年3月にオープンしたパナソニックミュージアム(大阪府門真市)に行ってきました。

パナソニックミュージアムの展示館は、「松下幸之助歴史館」と「ものづくりイズム館」の2館からなり、話題の実機展示(一部レプリカ)と創業時の家内の再現展示はそれだけで迫力がありましたが、私にはむしろ、まるで本の周年史のようにしっかりと編集されたその構成が印象的でした。

松下幸之助歴史館

松下幸之助歴史館は、パナソニックの創業者、松下幸之助の94年の生涯を紹介するものです。
館に入るとすぐフロントがあるのですが、そこから展示室は見えません。通路を歩いて左に曲がると贅沢なエントランス空間が広がり、幸之助の半生を写真で綴るパネル展示が目に飛び込んできます。本にたとえるなら、まさに口絵のよう。扉を開いて、はっとする感じに似ています。そこは明るい通路で、展示室の入り口はその先にあります。
1028展示室入り口へつながるエントランス空間

展示室はエントランスとは違い、ほの暗く落ち着いた空間。いわば本文沿革の始まりに、期待感が盛り上がります。入室すると、すぐ広い展示室全体が見渡せるようになっており、本の目次のように展示構成をおおまかに理解することができます。
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展示室に入ったところ

展示は7つの章で構成される通史で、各章は本の扉のようにはじめにパーテーションが立てられ、続くパネルで幸之助とパナソニック社のあゆみをしっかりと語ってから、時代を画した商品の鑑賞に続くという構造が貫かれていました。
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各章のパーテーション

パネルは、上部の画像(プロジェクターで転換)・サマリー・小年表といったフォーマットを厳格に守っていて、そのまま綴じると大きな本として成立しそうです。来場者の多くが、じっくりとパネルを読んでいました。
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各章のパネル

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パネルにある現物の展示ケース

創業当時の作業場を再現した「創業の家」は、まさに「特集」として臨場感を演出しています。
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「創業の家」

さらに、各章をまたぐコラム企画のように、随所に松下幸之助の語録を記したカードが置かれ、見学者は幸之助の言葉を集めながら、各章の展示をめぐるようになっているのが面白い仕掛けです。展示は幸之助とパナソニック社が歩んだ歴史の実録であり、さらにこの語録は、松下幸之助の理念がその歴史の背骨に通っていると感じさせる演出です。ほかに、タッチパネル式のモニターが並ぶライブラリーでは膨大な記録データを閲覧でき、いわば資料編まで大変充実していました。
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語録カード

 

ものづくりイズム館


ものづくりイズム館では、パナソニック100年の歴史で生み出された代表的な製品が一堂に展示されています。松下幸之助歴史館とはうってかわって、編年体ではなく6つのコーナーで構成されたテーマ史となっていました。どこから読んでも面白い、まさに「見る製品史」でした。まあ、博物館は見るものですね。
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<6つのコーナー>
「軽薄短小」・・・・くらしに自由を
「タフ/長寿命」・・・・くらしに安心を
「省力/省時間」・・・・くらしに家事楽を
「エンタテインメント」・・・・くらしに感動を
「UD/エコ」・・・・くらしにおもいやりを
「新スタンダード」・・・・くらしに新定番を
各コーナーには、昭和の雰囲気がする古い時代の製品と、スマートなデザインの近年の製品が一緒に展示されています。製造業の歴史紹介としては珍しく、技術がどのようにつながって進歩してきたかを示す系統は前面に出ていません。製品がもたらすベネフィット、消費者が求める価値を柱に据えて歴史展示を展開しているのは、ありそうでいて、あまり見かけない気がします。生活に密着した産業の歴史観として、納得させられました。

 

通史の「松下幸之助歴史館」とテーマ史の「ものづくりイズム館」は、2分冊の「本」のような構成でパナソニックらしさ・会社のDNAを伝えています。予算も相当かかっていると思いますが、とても贅沢な編集になっていました。

 

 

 

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西村茂
Writer 西村茂

リサーチ会社、商業施設の計画事務所を経て(株)エトレ入社。企業・自治体の広報支援、FCチェーンの開発支援業務に従事したのち周年事業室に勤務。

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