社史ってなんだろう?若手編集者から見た社史の世界
このコラムについて
社史編集に携わる20代の編集者として、社史について感じたことを等身大の目線で語ります。編集者としてだけでなく、企業で働く若手従業員としても、社史の意義について考えていこうと思います。今回は、社史に触れて最初に感じたことについて。
記録好きの日本人と、過去を伝えることの意味
学生時代、古典に苦しめられた人もそうでない人も、○○日記というような、日記文学について覚えがあるのではないでしょうか。自分自身、古典が苦手だったこともあり「なぜ日記ひとつ読むのにこんなに苦労するのか…」と思った記憶があります。(もちろん、後世に歴史を伝えるための大切な史料なのですが…)そういった日記文学に始まり、平家物語のような戦記物、英雄譚など、古くから「記録」や「歴史」を伝える作品が日本には数多いかと思います。今だと、ブログやツイッターがその役割を担っているのでしょうか。
社史に携わってまず感じたのは、日本人の執念とも思える「記録」にかける情熱。社史一冊を紐解けば、創業の波乱万丈から経営の危機まで、事細かな出来事が生き生きとつづられています。
思えば社史というのは、合理性を重んじる必要のある企業が、長い時間とお金をかけて、利益目的ではない「記録」を制作するという不思議な存在です。そうしてまで歴史を残し、後世に伝えていくのは何のためなのか。日本人のマメな情熱はもちろん、創業者の想いや企業が培ってきた精神を、今働いている従業員に伝えることが目的のように思えます。少し大げさかもしれませんが、過去と現在とをつなぐ存在が社史なのかもしれません。