世界最速にかけた情熱を今によみがえさせる「飛燕」レストアプロジェクト
2016年10月29日、神戸ポートターミナル・大ホールにおいて開催されていた、川崎重工創立120周年記念展を見に行きました。記念展の目玉は、第2次世界大戦中に開発・製造した陸軍の三式戦闘機「飛燕」の実機展示です。同社が120周年記念事業として、知覧特攻平和会館(鹿児島県南九州市)に展示されていた国内に現存する唯一の機体を修復・復元し、プロジェクトの歩みとエンジンの過給器の技術史とともに紹介しています。展示テーマは「世界最速にかけた誇り高き情熱」。航空遺産である飛燕から最新のモーターサイクルNinjaまで、川崎の技術者たちに受け継がれた最速への熱い思いを感じてほしいというわけです。さすが120年の風格は、神戸に川崎重工あり、という感じですね。
飛燕がどのような戦果を上げた航空機なのかはわかりませんが、当時の日本の工業力を結集してつくられたに違いありません。銀色の機体は実にスマートです。これで大きな液冷発動機(日本唯一らしい)を積んで高速飛行していたとは思えません。場内は撮影フリーで、広報の方がそこかしこでパネル展示の説明に当たっていました。
1896(明治29)年に神戸に川崎造船所が設立されてから120年。奇しくも
2017年元旦には神戸港が開港150周年を迎えることから、神戸にはさまざまなイベントが控えているようです。今回の展示はその先陣を切った感じです。120年史を発刊されるのかわかりませんが、こうしたプロジェクトの経緯を同時進行で載せられれば、周年事業と連動した新奇性のある社史ができるかもしれないなと感じました。ブランド戦略の一環として、というと堅苦しいですが、大切な節目の周年を活かして存在感を示した良い企画であったと思います。それはまた、戦争によって散った若く未来ある青年たちの命の尊厳を、技術史を通して心に刻むことをメッセージしているともいえるでしょう。
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