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思いを伝える社是・社訓⑮~たねや

先代CEOの山本徳次名誉会長がまとめた~末廣正統苑(すえひろしょうとうえん)~

「たねや」グループ(滋賀県近江八幡市)は全国に50店舗、売上高約200億円という和洋菓子製造販売の大手企業だ。バームクーヘンの「クラブハリエ」もたねやグループの一員だ。江戸時代に材木商に端を発し、種苗を扱うようになった。「たねや」の屋号の由来だ。1852年(明治5年)に「種屋末廣」の屋号で菓子業を始め、創業以来の「栗饅頭」は健在だ。

 「たねや」グループの社訓は、先代CEOの山本徳次名誉会長が1984年に商いへの心得をまとめた「末廣正統苑(すえひろしょうとうえん)」に込められている。9代目当主で「たねや」3代目の山本名誉会長は、東京のデパートに出店するという節目に、経営理念や基本方針をまとめ、和綴じの冊子にした。京都在住の劇団主宰者、長田純氏の協力を得て完成したもので、先代の父親から教えられたことや、近江商人の実践的な行動理念などが盛り込まれている。

 「『商い』とは福を見つけ 福をつくり 福分けをすることと覚ゆれば商行(あきない)の心 次の五条と心得べし」という商人心得五条は、

 一に 商人は何事も「手塩にかける」ことと心得べきなり
二に 敬う心こそ商人の心の芯なり
三に 正直にして有難き合掌感謝の心こそが 明日の商ひを呼び寄すなり
四に 工夫の心
五に 装ひの心

 商品を自分の娘と思って大切に大事に作り、商品を買ってくださるお客様への感謝の心を忘れず、何よりも嘘をつかない。常に工夫を重ねることが明日の商いの糧となり、惹きこまれるような魅力のある雰囲気や個性、豊かさという「装い」が商品に反映されそれがお客様への礼儀となる。

 「たねや」の経営理念である「商道は人道である」「手塩にかけること」「今日如何にお客様によろこんで頂けたかの心」はそれを集約したものだろう。
また、終業時には「一つ 私は素直な心でいただろうか 二つ 私は人様の無事と倖せを祈る心を忘れはしなかったか 三つ 私は正直と敬う心を持っていただろうか 四つ 私は装う心を大切にしていただろうか 五つ 私は手塩にかける心を忘れてはいなかったか 六つ 私は感謝の心を持っていただろうか 七つ私は親切の心を大切にしていただろうか 八つ 私は活き活きする前進の心を持っていただろうか」という「八つの心」を全員で唱和する。

 「末廣正統苑」の内容を確認し、日々の反省に役立てるのが狙い。社員全員が自分で冊子を購入し、新人研修や業務が始まる前に音読したり、管理職会議でも輪読したり、まさに「たねや」のバイブルとなっている。社員が1000人に増えても、一人一人に社訓や行動指針が徹底できるのは、こうしたシステムに支えられている。

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斎藤 治​
Writer 斎藤 治​

1954年青森県弘前市生まれ。'79年慶応大学商学部を卒業し、読売新聞大阪本社入社。広島支局(現広島総局)、姫路支局勤務を経て,'82年大阪本社社会部、'85年政経部(現経済部)、'88年東京本社経済部(重工業クラブ、建設省、通産省担当)、'91年大阪本社政経部(金融、機械、財界などを担当)、'98年経済部次長、2001年調査研究室(現論説・調査研究室)研究員、2007年同主任研究員、2012年6月記事審査部委員、2014年9月退職。現在、フリージャーナリスト。白鷹堂代表。

大阪大学大学院(国際公共政策研究科)、関西学院大商学部、武庫川女子大などで非常勤講師。読売新聞大阪本社で長期連載した「技あり関西」取材班として2006年坂田記念ジャーナリズム賞を受賞。関西日本香港協会理事、同華人研究部長。2003年から始まった華人経営塾「チャイニーズ・マネージメント&マーケティング・スクール」のモデレーターを務めている。共著に「日中韓の戦後メディア史」(藤原書店)、「時代の車窓から見た中小企業」(晃洋書房)、「時代の証言者売新聞社)など。

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