マネー、賎しくも尊きもの
例え急いで作ろうとしても、年史の場合単行本の2倍や3倍の時間は瞬く間にかかってしまうものです。しかし苦節3年、刻苦5年と胸を張るのもご立派ですが、編纂期間があまりに長いと負荷も高く鋭意も薄れがち。無難に見積もって1~2年と考えておいた方がよいでしょう。ただし、いつでも時間は当初枠を飛び越えていくもの、あまりにタイトな計画は禁物です。
さて、そうした資料収集や原稿執筆、編纂作業などに手間がかかるため、ともすれば予算も当初の見積もりを超えて膨れ上がることは覚悟しておいた方がいいでしょう。作業の節目ごとに作業の相対価値と予算を照合し、点検していくことが大切です。仕様が変更されない限り、印刷などのハードにかかるコストがそう大きく変わることはありません。しかし企画や表現技術など、いわゆるソフトの部分に必要なコストは新しいアイデアが生まれるにつれ刻々と(呼吸をするたびに)変化します。それはそれ、納得のいく価値の高い年史を作るための必要経費と腹を括って十分に備えあるべきものです。この実態なきソフトの分野に潤沢な予算を投入できるかどうかが、あなたの器量の見せどころ。
予算切れで編纂中止、値切倒しで業者辟易、たまに耳にするこんな話のあな恐ろしいこと。くれぐれもソフトに十分目利きした予算を初めにきちんと計上してから進めましょう。半端な予算で始まった編纂は地獄行き、とだけ申しましょう。