社史編纂で資料探しをすると20年前に自分が整理したものがでてくる。そんな時、紙のフォルダと鉛筆でかいた見出しは、昨日書いたかのように変わっていませんでした。
それに比べると、ホッチキスやクリップはすっかり赤く錆び、ビニールファイルはポロポロと落ち、セロハンテープは赤茶け粘着力はなくなっていた。紙と鉛筆は長持ちすることをこの身で実感しました。
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おおよそ3年間携わった社史が完成したところで、いくつか個人的な事情が重なり、長年勤めた会社を辞めることにしました。それからまもなくしてエトレの安川さんから、私が会社でしていた作業はアーカイブだといわれ、その経験をエトレで活かしてほしいと。アーカイブに携わる人をアーキビストと呼ぶとのことでした。
アーカイブという単語はもちろん知っていました。会社に入る前、国立民族学博物館付属の図書館でアルバイトをしており、民博でもアーカイブズと呼ばれる資料があって、「あー怪物資料」などといわれて恐れられていたからです。そんなこともあり、アーカイブ(ズ)と言われると古文書などの資料しか思い浮かびませんでした。アーキビストという単語は知らなかったのです。
アーカイブ・アーキビストが何なのかを全く知らないままお手伝いといっても、迷惑をかけるだけに終わってもいけないので、少し勉強を始めることにしました。まずインターネットで調べたところ、最初に手がかりとして見つけたのは、“13歳のハローワーク公式サイト”でした。そこに“職業紹介”のコーナーがあり、“公文書館専門職員(アーキビスト)”というのを見つけ、簡単なアウトラインを知ることができました。あとはいもづる式に、“アーキビスト・サポート”や“日本のアーキビスト”というホームページを見つけて、目を通していきました。そしてその中で紹介されている本の中から、『アーカイブズが社会を変える』『企業アーカイブズの理論と実践』『アーカイブを学ぶ』『アーカイブ事典』を買って読みました。日本アーカイブズ学会ほかいくつか団体があることもわかりました。
今はある程度概略ぐらいは知っているといえるのではないかとは思いますが、にわか勉強と、アーカイブとは何たるかを知らないまま会社資料を整理した経験があるだけなので、とても胸をはって、“私はアーキビストです”とは言えません。これからも少しずつではあるが、勉強を続けようと思っています。