友人のジャズシンガーのライブに行った際、ジャズ・ボーカルの女王ビリー・ホリデイが今年で生誕100周年だと知りました。
その時友人は「God Bless the Child」という歌を歌い、すごくよかったので、家に帰ってもう一度レコードで聞いてみました。
最近はapplemusicをはじめ、音楽を「聞く方法」が進化して、私も享受していますが、好きな曲を好きなときに好きなだけ聞ける時代となりました。
レコードはあたたかい音もさることながら、好きな曲が流れるまでのんびり待ちながら聞いたり、でも待っているうちにその曲が好きになったり、そして、A面が終われば裏返してB面を流したり・・・と、手間はかかりますが、それも含めて、音楽と向き合って聴く感じがなんといえず良いです。レコードはだいたい中古で購入しますが、時を経てもその時代の空気や、その音楽を聴いていたときの心境が甦ります(実はビリー・ホリデイのこのレコード、当時の彼女、すなわち妻にプレゼントしたものでした)。
レコードは文字通り「記録」という意味ですが、どちらかというと「記憶」に近いかもしれません。
以前、ジャズ好きで知られる、作家の村上春樹さんに読者交流サイト「村上さんのところ」で、小説の保存について質問したところ、「一区切りごとにUSBで保管します。一度停電にあって、その日書いたものが全部消えてしまったことがあります」と教えてくれました。デジタル化が進んで便利になり、それはとてもいいことでもありますが、カタチとして残るアナログの良さや味わいも、忘れずに大切にしたいものですね。