「関西国際空港20年のあゆみ 大阪国際空港75年のあゆみ」
今回は「関西国際空港20年のあゆみ 大阪国際空港75年のあゆみ」(新関西国際空港株式会社・2014年発刊)の編纂をご担当された浜野浩二様にインタビュー。これから周年史を編纂される方々に向けて、貴重な体験談やアドバイスをお伺いしました。
まずはじめにすべきことは?
いかに限られた期間や予算の中で思い描くような周年史に仕上げられるかは、最初の関係者全員が集まるキックオフミーティングにてどれだけ各自の意見や思いを他の人に伝え、共通認識を持つかにかかっています。誰をメインターゲットにして、どんな切り口(時系列?テーマ別?など)で、どんな形態(辞典タイプ?写真グラフ?デジタルデータ?)を取るのか、徹底的に議論を重ねることによって大筋の方向性は確定します。後はみんなで決めたことをどこまで通し続けられるかです。
進める上で気をつけたことは?
そのためには今度は所属長の役員や部長のバックアップが必要不可欠です。会社の経営幹部はそれぞれ社や事業、業績に対して思い入れを強くお持ちでしょうから、いちいちお伺いしていたら、纏まるものも纏まりません。ある意味いかに事務局に任せていただける環境をつくれるかが、工程どおりに諸作業を進捗させる鍵だと思います。
一番良くないのは、パートナー会社にお任せで資料を全てお渡しして丸投げすることだと思います。そんな形だと経営幹部からいろいろとご指摘を受け、結果構成が二転三転し、自分が意図していたものとは別な物が仕上がることになる恐れが大きいですね。
基礎資料の収集・整理について
数千にわたる膨大な出来事からキーとなるトピックスを選定する作業とそのトピックスの史実確認、トピックスを補完する写真の収集および選定。これらの作業に大変苦労しました。前回の周年史が仮にあったとしても掲載されたトピックスや写真が整理されているとは限りません。あらためてじっくり検証すると史実の誤認が見つかったりし、基礎資料の収集にかなりの労力を割かれることになりました。
もし皆さんの会社に過去のデータを保管している資料室のような部署が無ければ、早めに基礎資料の整理をはじめられることをお勧めします。
発刊して一番大切に感じたこと
一般的な社史と違い空港史の取り纏めは、特殊性や専門性ゆえに、短期間でパートナー会社と認識を共有することは難しいと考えておりました。我々は制作プロダクションさんにお伺いする機会を増やし、意図や背景を説明しつつ、現場で方向性やまとめ方、レイアウトのイメージについてプロとしての意見を頂きながら、目的通りの形にしていくことができました。一番大切なのはパートナー会社との信頼関係に尽きると思います。
インタビューを終えて
「どんなものをつくりたいか」「誰に何を届けたいか」は、周年史をつくるうえで、スタート地点であり、めざすべきゴールでもあると思います。浜野様のお話しにありましが、まずは共通認識を図り、いかに「後はみんなで決めたことをどこまで通し続けられるか」。周年史は長い制作期間の中で、掲載内容や要不要はじめ判断に迷う部分が数々出てきますが、その初心があれば、ぶれずに前に進めるように思います。
なお、制作時の企画意図や詳しいお話しは、周年事業室WEBサイトに掲載しております。ぜひご覧下さい。